科の木箱
設計趣旨
建物の老朽化に伴った建替である。
敷地は南面する傾斜地の分譲団地の一面にある。建主は、できる限り設備に頼らない人為配慮による省エネルギー住宅を希望していた。長年すみ続けた住宅の建替であったため、敷地の自然条件をよく理解されており、既存樹木や,太陽光,通風の自然の力を最大限に利用し,省エネルギーを徹する工夫をした。南面全面開口、開放的なワンルームが可能となった。南面サンルームは外部と居室との緩働エリアであり、間の引き戸によって居室の温度調節を行う。植物好きな夫婦の趣味の間としても活かされている。
基準値・設計値・実績値
採用された要素技術とレベル
採用された要素技術の概要
自然風の利用
立地
「立地3」:自然風の利用が容易な郊外型の立地
手法
手法1: 直接的な自然風の取込
1・2 階ともにワンルームとした。南面(風上)に全面開口のサンルームを、北側台所に開口部を設けて通風。
手法2:間接的な自然風の取込
卓越風の流れる東西は柱の室内側・室外側の両面に縦すべりサッシを設置。両方の窓を開けると外部サッシが袖壁になり自然風を取り込む。
手法5:室内通風性能向上
建具は全て引き戸、サンルームの2階床をグレーチングとし通風を促す(写真参照)。サンルームと居室の間を引き戸とし、開放すると南北に開口を持つワンルームになり開閉により温度調節ができる。
レベル
立地3において、手法1・2・5を満たすため、「レベル2」となり、冷房エネルギー20%程度削減
日射遮蔽手法
手法
手法1: 開口部の日射遮蔽手法
ガラスの種類:断熱型低放射複層ガラス(A12)
日射遮蔽部材:内付ブラインド+ 外付電動ブラインドシャッター
レベル
上記より開口部の日射侵入率は「0.16」で、「レベル3」となり、冷房エネルギー45%程度削減
日射熱の利用
立地
・地域の気候特性「に地域」:日射量が多い地域
・立地条件「立地3」:日照障害の影響がなく日射熱利用が容易な立地
・建物方位「方位2」:真南±30
手法
手法1: 開口部の断熱性能向上
開口部は、金属・プラスチック(木)複合構造に断熱性低反射複層(A12)ガラスを使用で、熱貫流率が1.7(W/㎡・K)であり、熱貫流率2.91(W/㎡・K)以下であるという要件を満たす。
レベル
手法1を満たしているため、「レベル2」となり暖房エネルギーを10%程度削減
建物概要
- 住宅の所在地
- 神奈川県(Ⅳ地域)
- 敷地の規模
- 201.24m²
- 住宅の階数
- 地上2階
- 住宅の規模
- 建築面積 65.37m²/延床面積 127.28m²
- 住宅構造
- 木造
- 家族構成
- 夫婦2人
- 竣工年
- 2007年
- 設計者
- 有限会社 葛西潔建築設計事務所 (外部ホームページへ移動します。)
- 施工者
- 有限会社 葛西潔建築設計事務所 (外部ホームページへ移動します。)