小野の長家
設計趣旨
建物配置は南面隣家の影響をなるべく減らし、最大限日照が確保できるように東西に細長い建物を敷地の北側に寄せて配置した。東西に細長く伸びた計画は、南庭へのつながりを各所に生み出し、室内外両面で、空間を連続させつつ道路側のパブリックゾーンからプライベートゾーンへと曖昧に変化を持たせた。室内は大きなLDK を中心に、夏場は日射遮蔽と天井扇による空気対流、夕方以降の通風を考えた。冬場は、日射取得と蓄熱+薪ストーブによって、心地よい室内環境を実現する。
基準値・設計値・実績値
採用された要素技術とレベル
採用された要素技術の概要
日射遮蔽手法
手法
手法1: 開口部の日射遮蔽手法
ガラスの種類:普通複層ガラス
日射遮蔽部材:内付ロールスクリーン+ 一部庇
レベル
上記より開口部の日射侵入率は「0.45」で、「レベル2」となり、冷房エネルギー30%程度削減。
写真1:南面開口部の一部はバルコニーが張り出し庇の役割をしている。
昼光利用
立地
立地3: 太陽光の利用が容易な郊外型立地
手法
手法1: 直接的な昼光利用
リビング、家族図書館、子供室、寝室はいずれも2 面採光で、それ以外の居室及び非居室も1 面採光している。⇒採光条件3
レベル
上記より、「レベル2」となり、照明エネルギー5%程度削減。
写真2:リビングは、東西の奥行が3mなので、南側開口部から入る昼光が十分に室奥まで届き、設置する照明 器具も最小限で抑えることができる。
※自然風の利用
立地
立地2: 自然風の取込に工夫が必要
手法
手法1: 直接的な自然風の取込
・7月、8月は南南東からの風が多いことを過去の気象データとヒアリングから確認し、南面の風上側の開口を大きめにとり、出口側の北面の窓を適切に配置し流速や風の流れを計画した。
・二階寝室も室内に手摺を設置することで、掃き出し窓で十分な通風を得る。
・東西に細長い計画のため、南北通風は非常に効果的に建物内に通風が得られる。
手法4: 温度差換気の利用手法
LDKの1室空間の最上部のロフトに、熱気抜き用の常時開放しやすいガラスルーバー窓を設置した。
手法5: 室内通風性能向上
・LDKや子供室を一室空間とし、上下間の空気の流れを吹き抜け、階段ホールを通じて循環できるように計画した。
・寝室、家族図書室等の個室に区切る建具も全て引き戸とし、常時開放できるようにした。
レベル
自然風の取込に積極的に取り組んでおり、居住者も満足されている。ただし、立地2のため、手法2と3の取り組みがないと、レベルには反映されない。
建物概要
- 住宅の所在地
- 兵庫県(Ⅳ地域)
- 敷地の規模
- 242.76m²
- 住宅の階数
- 地上2階
- 住宅の規模
- 建築面積 115.94m²/延床面積 147.59m²
- 住宅構造
- 木造
- 家族構成
- 夫婦2人+子供2人
- 竣工年
- 2009年
- 設計者
-
辻充孝(岐阜県立森林文化アカデミー)
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トヨダヤスシ建築設計事務所 (外部ホームページへ移動します。) - 施工者
- 株式会社中島工務店 (外部ホームページへ移動します。)