標高700mに建つ「百年快適な家」
設計趣旨
平成21 年度長期優良住宅先導的モデル事業「土塗壁の高断熱化普及事業」の第1棟目である。地元に残る左官の土塗壁を全ての壁に施工して蓄熱体として利用している。建物を真南に向けて配置し、冬期の日射熱を最大限に活用し、暖房負荷の削減を図った。性能的には、熱搊失係数(Q 値)1.19W/ ㎡、 隙間相当面積(C 値)0.5 ㎠ / ㎡と高断熱・高気密の性能を確保することができた。蓄熱体になる土壁使用量は、延床220.6 ㎡に対し土壁面積334.34 ㎡となり、床面積当たり1.52 ㎡と多く使用することができた。地域材の利用も積極的に行い、構造材は地元東濃桧の柱・梁・桁、小屋材は岐阜県産の杉、土壁も東濃地域の資材で作られている。
基準値・設計値・実績値
採用された要素技術とレベル
採用された要素技術の概要
日射熱の利用
立地
パッシブ地域区分「は地域」:日射量が多く寒い地域
立地「立地3」:日照障害の影響がなく日射熱利用が容易な立地
建物方位「方位1」:真南±15度
手法
手法1:開口部の断熱手法
樹脂サッシに断熱放射ペアガラスかトリプルガラスを使用している。熱貫流率が1.23 ~1.70(W/ ㎡・K) で、熱貫流率2.91(W/
㎡・K) 以下であるという要件を満たす。
手法3:蓄熱材の使用
蓄熱部位の材料として、居室の土塗壁と基礎のコンクリートを算定した。居室の壁に使用している「土塗壁」は334.34 ㎡あり、壁厚は15 ㎜~ 45
㎜で部位ごとに異なる。また基礎は基礎断熱で、土間コンクリートの厚みは200
㎜である。これらをそれぞれの容積比熱に応じて算定すると、182(kJ/℃・㎡)となり、蓄熱部位の熱容量170(kJ/℃・㎡)以上であるという要件を満たす。
レベル
手法1と手法3を満たすため、「レベル3」で暖房エネルギーを20%程度削減。
日射遮蔽手法
手法
手法1: 開口部の日射遮蔽手法
ガラスの種類:断熱低放射複層ガラス
日射遮蔽部材:南側の開口部に庇、レースのカーテン
レベル
上記より開口部の日射侵入率は「0.28」で、「レベル3」となり、冷房エネルギー45%程度削減。
太陽光の利用
立地
パッシブ地域区分「は地域《: 日射量が多く寒い地域
立地「立地3」: 日照障害の影響がなく日射熱利用が容易な立地
建物方位「方位1」:真南±15度
手法
太陽光電池パネル4.44kW を屋根面に搭載
レベル
太陽光発電パネルを4KW以上設置しているため、年間一次エネルギー消費を39.1GJ削減。
建物概要
- 住宅の所在地
- 岐阜県(Ⅳ地域)
- 敷地の規模
- 806.94m²
- 住宅の階数
- 地上2階
- 住宅の規模
- 建築面積 160.65m²/延床面積 220.6m²
- 住宅構造
- 木造
- 家族構成
- 7人
- 竣工年
- 2004年
- 設計者
- 金子建設工業株式会社 (外部ホームページへ移動します。)
- 施工者
- 金子建設工業株式会社 (外部ホームページへ移動します。)